ANGLER × BURITSU Vol.001 並木 敏成 / O.S.P PROFESSIONAL ANGLER

取材協力 : O.S.P Inc. インタビュー: 北畠 蘭知亜(BURITSU) 撮影:北畠 瑠乃(BURITSU)

ANGLER × BURITSU 第1回のゲストはプロアングラーの並木敏成さんです。
2013年のBasser Allstar Classicでは自分がプレスアングラーとして同船。
奇跡としか思えない展開でリミットメイクを果たした“世界のT.Namiki”のバスフィッシングを目の当たりにしました。その縁をきっかけにお忙しいスケジュールの中、お時間を頂き
並木さんのT.Namiki’s Fishing Roomにお邪魔してお話しを伺いました。

ANGLER × BURITSU とは?

釣り人に出会うとまず始めに、どうやって釣りと出会ったのか?どんな釣りが好きなのか? そんな話をするのが楽しいですよね。プロアングラー、ミュージシャン、タレント。どんな著名人であろうと、 ひとりの「釣り人」です。 アングラーとしてどの様に釣りと向き合っているのか?十人十色の歴史をBURITSUが切り取って意外な一面を覗いていただければと企画しました。

ANGER’S PROFILE 並木 敏成

TOSHINARI NAMIKI / Professional Angler
小学3年の時、父に連れられて船釣りを初めて体験し、
その後、釣りに熱中するようになる。
1994年、JBバスアングラーオブザイヤーを獲得し、
1997年には、日本人として初めてアメリカの
B.A.S.S.バスマスターズクラシックに出場を果たす。
O.S.P Inc 代表。

CHAPTER 1 釣り人としての原点

並木さんの釣り人としての原点は何だったのでしょうか?

きっかけは小学校3年の時に『釣りキチ三平』を読んで。

それまでは、昆虫採集とか子供だったら誰でもいくじゃん? カブトムシやクワガタを捕まえたり、チョウチョをとりにいったり。でも、釣りって道具を使って行う、1つレベルの高い生き物を捕まえる方法だよね。なんで、道具も多いからとっつきにくい。でもアニメを見る事で「ああ、こうやって糸は結ぶんだ」とか「餌はこうやって付ける」んだとかを知る。そして自然と、釣りに行きたくなる。

君たちの時代はそうでもないかもしれないけど、僕らの世代の頃はもっと自然がいっぱいあって。『釣りキチ三平』がめちゃくちゃ流行ってたんだよね。小学5〜6年の頃だったかな。

18.NOV 2014 at T.Namiki’s Fishing Room 11:28

BURITSUのメンバーは『グランダー武蔵』の世代で、それを見て釣りをしようと思った少年が多かったと思うのですが、それより前は『釣りキチ三平』が釣りをはじめるきっかけだったんですね。 並木さんは作者の矢口先生にもお会いしてますよね。

雑誌の企画で何度か対談させて頂きました、素晴らしい方ですよね。自分が釣りにのめり込んだのは、間違いなく『釣りキチ三平』のおかげ。自然って深いなとか。いろいろな物があるんだなとか。それらをアニメから知ったよね。

その後、バス釣りをすることになったきっかけはありますか?

バスという魚を知ったのは小6の時、課外授業でクラブがあるじゃない?自分はそこで工作クラブに入ってたんだけど、夏休みの宿題でなにか作るって時に自分はヨットを作ったんだ。そんな中で他のクラスの子が3人くらいルアーを作ってきたのね、木を削っていま思えばミノーみたいな。「なにそれ?なんなの?」「これでブラックバスっていう魚が釣れるんよ〜」っていうから へ〜って。それまでは釣りをやってたからスプーンは知ってて、スプーンとかはワゴンで安く売られていたのを子供ながら持ってたんだけど、プラグ自体見たのがはじめてだったし、バスっていう魚の名前を聞いたのも初めてだった。

その子は世界のT.Namikiにバス釣りを教えたんですね(笑)

でも、本格的にやりだしたのは、高校とか大学入ってからだね。それまではいろんな釣りをやりつつ、バスもたまにやる。でも、バスは釣れねぇなぁ〜みたいな(笑)釣り方が分からず、バスがいる場所も限られていた、あぁ、相模湖まで行かないといけないなぁ。とか近所の池はあるけど、釣れるってなったら宝くじに当たるくらいの確率だろうなぁ、とか。でも、ルアーを投げてるだけでも楽しかったけどね。泳がせたりして、「あっ、こんな泳ぐんだ、このルアー!」とかさ。スピナーってこうやって回るんだとか。ミノーは引くと潜ってブリブリ本当の魚みたいに動くんだとか。

自分も少年時代はバスが釣れなくて。ルアーを投げにいくだけの遊びになってましたね。

どっちが飛んだとか。どっちが早く回収できるかだけでも楽しかったよね(笑)

青木大介さんにお会いした時も同じような事をおっしゃってました。神奈川県にある震生湖で子供の釣りをしてて最初1〜2年は全然釣れなくて。 ルアーを動かすのがただ楽しいからやってたんだよねと(笑)

彼は高校のころはバドミントン部に入りながらも、電車で芦ノ湖まで行ってたみたいだもんね。芦ノ湖チャプターに手漕ぎで出てたらしいよ、ガッツがあるよね(笑)

並木さんは中学〜高校のあと津久井湖にいってらっしゃったんですよね?

中学1年から八王子なんで、津久井湖だと自転車で行けたんだよね。ここから10kmもないんで。相模湖だとここから23kmくらいあるし、峠道だし。津久井湖だとそんな大した峠もなく距離も近いんで友達同士で。

中学の頃、バス専門でいったのは5回位だったかなぁ? 中学の間、友達が唯一25cmくらいのを釣っただけでさ、あと誰も釣れないみたいな(笑) でも、俺は中学のとき逆に自転車で海とかも行ってたからね。

えっ!?自転車でですか?(笑)

そうだよ、江ノ島とかさ。横浜の杉田くらいまで行った事あるし。距離にして50〜60kmぐらいだけど、泊まりなら130km離れた伊東まで行った事もあるよ(笑)

だいぶキテますね(笑)

凄いでしょ(笑)江ノ島なら日帰りで行って帰ってこれるよ2時間半くらいで行けたもんね。

体力というか...行動力がハンパないですね

中学の時にサイクリングとかも一部で流行ったんだよね。だからいとことかクラスでも活発な子はドロップハンドルとか買って、それで遠征いってとか。とはいえ、誰も海まで行った事なくてさ。俺1人で江ノ島行ったんだわ(笑)

えーっ!! ほんとですか(驚)

どうしても釣りがしたくて。それで、次の日に学校でさ「俺、江ノ島まで2時間半で行ったよ」って言ったら誰も信じてくれないの。

それはそうですよ、そんな人なかなかいないですよ(笑)

「平塚まで2時間で行けて、そっから30分で江ノ島行けるよ」って話したら信じなくてさ。次の週くらいにその話聞いた3人くらいが行って2時間半くらいで行けたみたいで、並木の話は本当なんだね〜って(笑)

T.N.F.R.には自転車も配備、これに乗って結構遠くまでランチをしにいったりしているのだとか。まわりのスタッフの方はついていくのが大変らしく、大人になっても行動力は変わってらっしゃらない様です。

中高時代に2時間半自転車に乗るってのは...自分だったらまず考えられないですね。狂ってるとしか思えないですね(笑)

2時間半で江ノ島行くって言ったらハンパなく大変だよ(笑) 普通は4時間くらいかかるからさ。相当ぶっ飛ばして。

それで、釣りをして!? 自分だったら釣りにならないです(笑)行って帰ってくるので精一杯ですよ。海釣りではどんな魚を狙ってたんですか?

普通にイワシとかアジとか、サビキみたいなので釣れるやつ。それが高校になったら移動がスクーターになって。スクーターになると行くっていう仲間は増えるよね(笑)

自分は自転車だったら「難しいわぁ〜」って断りますね(笑)
その後ブラックバス釣りにのめりこむきっかけはなんだったんですか?

最初のバスは高校2年、津久井湖までスクーターで行っておかっぱりで1〜2時間やって帰ってくるっていう時にぽろっとマグレで1匹釣れて。

その後、大学は東京水産大学(現:東京海洋大学)にいったんだけど、水産学部に絶対にいきたいなーっていうよりは、他に興味のある学部がなくて。自分、自然の事が好きだしね。釣りも好きだし、海系の学校いったらなんか楽しそうだとか、体力面も鍛えられたり。興味があるかなーって。

並木さんが開発したO.S.Pルアーの全てには合理的な意味があり、それらが性能となって機能しているからこそ、発売から10年経っても世界中で釣果をあげ、愛され続けている。

それ以外で工学部とか入ってね、あんまり興味ない図形やらそういうのもなんかあんまりやる気しないっていうのもあって。

好きな自然とか魚とか生き物を相手にしたことしたいなと思って。それまでもいろいろな釣りを経験してて。海釣り、渓流とか餌釣りメインでしたけど。

大学1年になって、バス釣りの事に詳しい先輩とかがいて。道具を見せてもらったりして。それまで自分はラパラのミノーとかしか持ってなくて。それまでバスを20匹くらい釣ったことあったけど、全部ミノーだったんだよね。やっぱミノーって一番、餌っぽく見えるじゃん。小魚みたいな。

それが、スピナーベイトとかバズベイトとかそういう存在を知って。投げてみたら、「コレよくできてんな〜」って。障害物に引っかからないし、こんなのに魚が食ってくるのかな?って。

それまではニジマスとかヤマメのルアー釣りと同じように、小魚みたいなバスが食べているもで騙せる、そっくりな形のミノーとかでしかなきゃ釣れないんじゃないか、ミミズを食べてるやつならちっちゃいワームなら、とか。

それが、あんなルアーで釣れて。しかも理にかなってるっていう。適当に面白いからこういうルアーを作ったんじゃなくて。こういところをこう引いてくるために例えばスピナーベイトなら針が1本で上向きにして。 横とか下に障害物があっても引っかからないとかさ。あと、スピナーベイトのアッパーアームが針をちゃんとガードしてくれるとかね。

並木さんはそういう合理的な事が好きなんですか?

そうだね。理由があってこういう形になってるとか、こういう素材になってるとか。ワームだと針先を埋めてるから引っかからないとか。でも、その分フッキングの時は強くアワセて針を出すとか。そういうのって凄いねぇって思うもんね。だから、タックル、ルアーの仕組みなりを1つづつ理解していくのも楽しいし。

CHAPTER 2 渡米、トーナメントへの参戦

国内のトーナメントで活躍なさった後、アメリカに行かれましたがその当時(1995年 は野茂投手がメジャーリーグに挑戦した年)日本人が海外に出て行く人が少なかったと思うのですが、なぜアメリカに行こうと思ったんですか?

それは普通にバス釣りでも、ミノーで釣ったらスピナーベイトで釣ってみたいなとか。野池の釣りが分かったら大きい湖でやってみたいなとか。日本の大会も分かったら海外の大会に出てみたいなぁ、とかさ。そういう単純な部分かな。

並木さんの興味の広がりの1つが海外のトーナメントに出るって事だったんですね?

少なからずバスってやっぱりアメリカが本場で、フィールドの数とか規模とか。大会だったらライバルとなる選手の数とか。当時でいえばレベルの差とか。日本でやりにくいパワフル系の釣りにおいては特に向こうの方が圧倒的にレベルが高かったわけで。

そこで自分がどこまでやれるか、というか行って学ばなければならない。それがプロ故、当然だろうっていう。そういう部分はあるよね。

単純に釣りの興味、大会じゃないにしても趣味でやってたとしても、日本で釣りをしてたら海外に行ってみたいな、ってどんな釣りものだってそう思うわけじゃん? マグロを日本で釣って海外でもっとでかいマグロがいるって聞いたらそっちまでいって釣りがしたい。プロなり、コンペティターだったら、より競争が厳しいとか、より強い相手がいるならそっちにいってやりたいとか。極めて自然だよね。

なるほど、そういう動機だったんですね。でも、自分だったら知らない場所にいってやるって事に不安になっちゃうと思うんですけど。興味が強いから、釣りしたいから江ノ島まで自転車で行っちゃうのと同じってことですね(笑)

そうだね(笑)

つまり並木さんは行動力がハンパじゃないって事ですね(笑)

CHAPTER 3 O.S.P Inc.設立。

O.S.Pというご自身のブランドをやろうと思ったきっかけはありますか?

理由はいくつもあるんだけど、釣りをしていく中でこういうルアーがあったらもっといいのになぁとか。でもそういう物が世の中に無かったり。あとはそれまで使ってたルアーがあったとして、ここをもっと改良したらいいのができるのになぁっていう。そういうのを実現してくれるスポンサーがあったとしたら、自分で会社を起こさなくても良かったのかもしれないけど。そういうのが実現不可能なルアーなんかもあって、それなら自分でやろうってなったかな。

ただ、作りたいルアーが無くてもどっちにしてもO.S.Pはできてたと思う。自分のプロとしての収入やスケジュールを管理する会社が欲しかったから。それまではフリーでやってたんだけど。当時、O.S.Pを起こした時はアメリカに行ってる時が多くて忙しくて。いろいろな方からアドバイスをもらったのもあるかな。

その当時は、その年暮らしっていうのがあったんだよね。ありがたいことに契約金があって海外に行けてたんだけど、契約金が削られちゃったら釣りも続けられないなぁ、という将来の不安もあったし。それがしっかりと毎年安定して収入を得られる会社を作っておけば、プロ活動や釣りをずっと続けられるからそういう保証が欲しかったかな。その3つの理由だね。

その後、T.N.F.Rを作られて、凄い夢があるなと思ったんです。バスプロとはいえトーナメントだけで生活するのは難しい時代で、若い子がバスプロに対して夢を持ちづらくなっている状況の中、ご自身の会社で成功して夢のような基地を作られた事は本当に素晴らしいですよね。

この艇庫は、長年の夢でもあったし。こういう場所があることで釣りの準備が快適にできたり、より楽しくなったり。なにより合理的で、雨の日でも夜でも準備ができて、1箇所に道具がまとまってるって良いことで。今まではいろんな場所に散らばってたから手間がかかって。今は艇庫ができてより釣りに集中できるし、釣りにいける時間も増えるし。

あとは、自分の夢でもあったけど、若い子達にこういう部分を見て夢を感じてほしいなと思って作ったんだけど。

釣り人の「いつかはこんな釣り専用ガレージを持ちたいな」という夢が詰まっていて、本当に夢の空間ですよね。微かな期待ですが自分も夢を見ることができました(笑)

CHAPTER 4 釣りを通じて学んだこと。

釣りを通じて学ぶ事はありましたか?

全てにおいて賢くなれたと思う。自然には必ず理由がある。その生き物や植物が残っている理由ってあるんだよね。地域によって特性をもった生き物が昔から残っていて滅びたものもあったり。自然のメカニズムを見て賢くなった。それらの理由に気づく事が出来る。

あとは、釣れた結果とか理由、道具の意味、形。それらが一般生活でいろんな問題が起こったときに対応できる力になる。道具を使いこなせることとか。 工具ひとつイジるにしても釣りをやってると、工具の使い方もすんなりできたり。より器用に生きられるようになる。それ以前に自然の尊さ、命の大切さも気づかせてくれる。でもそれだけじゃなくて。物事には全て理由があるって事かな。

そして、釣りをする事で現代人らしく生きる事ができる。自然にふれるから原始的な遊びじゃないかなって思うかもしれないけど、針と糸と餌だけで魚を捕まえる単純なものではなく、色々ある道具を使いこなすことっていうのは、むしろ現代人としての色々な知恵を与えてくれると思う。他のスポーツや趣味よりも。

子供の頃は昆虫とか捕まえてたけど、手とか網で捕まえてたのが、釣りはもっと高度で。子供に釣りをさせたら道具の使いこなしとかを覚えることで、1つ賢くなれる。もしくは賢くなれるタイミングが早くくると思うんだよね。

釣りは魚からの反応という不確定要素があるところも魅力なのかなって思うのですがどう思いますか?

スポーツで置き換えると、例えばボクシングなどで圧倒的に強い相手に普通は絶対に勝てないよね。あとは、体力的限界とかでこれ以上がんばって、いい道具揃えても、上手くなれないなぁとか思うけど。釣りはそうじゃなくて、その瞬間に正しいことをしたら子供でも女性でもプロに勝てるっていう。

体力的限界もそんなにないし、より軽いタックルとかでカバーできるし、投げにくいルアーも投げられるようになったり。腕力にあわせてタックルをずらせば上級者レベルのことができるようになったりね。

CHAPTER 5 なぜバスフィッシングは特別なのか?

Photo : Basser

自分はワカサギからコマセのキハダ釣りまでいろいろな釣りを楽しんでいるのですが、その中でもバスフィッシングが特別な存在だと思っています。自分の場合は子供の頃のバスが釣れなかったというコンプレックスが故、のめり込んでしまっていますが並木さんは何故だと思いますか?

まず、自分で考えることが多いのがバスフィッシングだと思うのね。餌釣りだったら餌が数種類って決まってて。川の脈釣りであればカワムシがとれればカワムシが一番いい、でもないときはミミズを使うとかぶどう虫を使うとか。水が濁ったらミミズがいいとか、あるけど。でも基本、この餌がベストと言うのは数種類以内だよね。

バスの場合はルアーのタイプがいろいろあってそれが、季節とか状況によって全然違うタイプのリグとルアーを使う。海の胴つき仕掛け(ダウンショット)みたいなのがいいときもあればGT釣るみたいなポッパーを使う方がいい時もある、ジギングじゃないけどメタルジグがいい時もあるし。いろんな釣り物の全てで考えらえるリグが全部バス釣りの要素。竿も、他の釣りなら基本は1本だけどバスの場合はゴルフクラブのように1日の中で何回も変えて使い分けたい状況があるし。

あとは道具をいじったりチューンしたり、そういう楽しみもあるんじゃない? ラジコンとかバイクとか車をいじるのが好きな人ってバス釣り好きだよね? あとはミュージシャンとか楽器いじくったりしてるから。リールとかルアーをいじくったりする。それだけでも楽しめるし。

あとは、スポーツ的要素。キャスティング、ボートコントロールってテニスとかゴルフと同じようにいかに狙った場所に玉を入れるかってのと一緒で。でも激しいスポーツだとハードすぎて体力的に限界があると続かなかったりするけど、バスのキャスティングなら、その人にあった正しい道具とコツをつかめばグングン上手くなる。スピニングを覚えたら今度はベイトを投げたりとか。色々なタックルでのキャスト方法があるから深いと思うよね。

だから、いくつもの趣味の集合体でもあると思う。囲碁とか将棋みたいに、何手先を読んでどう打つかっていうのがバス釣りでもあるよね。1つのブッシュや乱杭でも1手目はここに入れて、風が吹いたり、ボートが流されたらここに入れようとか。それで1匹釣れたら荒らさないように魚をこっちに寄せて取り込んで、こっちで2匹目を釣ろうとか。

囲碁や将棋でも何手先とか、相手の出方を伺って次の1手を考えるとか。トーナメントであれば、ライバルの人に対しての戦略もあるから。自分はここで釣りたいけどここは5人くらい来そうだから、大会のときはプレッシャーでつぶれちゃうだろうから、こっちは魚薄いけど自分で独占できそうだからこっちに行こうかな?とか。そう考えるとテニスであり、囲碁、将棋のような頭脳プレーもあり、あとは男が好きなラジコン、車いじりみたいな道具いじったり、コレクター的な楽しみもあるしね。

あとは、単純に獲物。生き物と勝負する、捕まえるとか。ハンティングみたいな達成感もあるよね。対人で人より多く釣れたらいいなという競争心もある。

同船させていただいた、Basser Allstar Classicでのひとコマ、並木さんのバスフィッシングの所作は、他のバスプロに比べて動作が圧倒的に美しく、カッコイイ。魅せる事もプロとしては当たり前とおっしゃっていました。

並木さん、カワハギ釣りとか他の釣りも時々行かれてますよね?

年に数回以上は、できればもっと時間があれば他の釣りもガンガンいきたいんだけど。でも数回じゃきかないかな、ちょっと近所の川に子供とダボハゼとかハヤ釣りに行ったりとかも入れたら10回以上はあるかも。何年かに1度。船に乗ってマグロ釣りにいったり。

バス釣りって、いろんな釣りの集合体で。逆に他の釣りはバス釣りの1つのテクニックの超特化型というか、より追求できるんだよね。ダウンショットはある意味カワハギ釣りに似てるんだけど、バス釣りでワームなりダウンショットやってる人って、カワハギ釣りにパッといっても釣れるよね。他のバスプロも上手いよ。船釣りを趣味でやっている人より大抵バスプロの方が釣るんだわ(笑) 誘いとかかける技術が上で。でも、その中でも俺が一番釣るんだけどね(笑)

さすがです(笑)

バス釣りのダウンショットに活かせるような、もっと深い部分のダウンショットリグの扱いをカワハギ釣りをすると気付けたりする。あと、鮎釣りなんかもバスのノーシンカーとかナチュラルドリフトなんかに似てるんだけど。いかに餌に負担をかけないようにするとか。でも鮎釣りのほうがもっと難しくて深い。

バス釣りのフリッピングはある意味、カサゴの穴釣りみたいだなーとか。渓流の脈釣りみたいだなーとか。キャロライナリグはシロギス釣りだなーとか。そういう他の釣りを幅広くやった人がバス釣りに入ると異常に上達が早いんだけど。それは引き方とかボトムをとる釣りには先調子の硬い竿が良いって分かってるじゃない? 経験がない人だと柔らかいスローテーパーの竿でキャロやろうとしたりしちゃったり、アタリの取り方がわからなかったり、食わせる間の作り方も知らないだろうし。

なんで、バス釣りも他の釣りも、どっちもやるのがいいと思う。海の釣りは食べる楽しみもあるじゃない?釣れた獲物を捌いて食べるっていう、そこはバス釣りには無い魅力だしね。

本当にそうですよね。
最後に、漠然とした質問で恐縮なのですが...
今後はどんな釣り人になっていかれるのでしょうか?

今後どういう形でバスフィッシングに関わっていくのかは、先が読めない部分もあるんだけど、1番は自然体でいたい。その時、自分が一番やりたいバスフィッシングと関わっていきたい。バス釣りとこういう関わり方をしたらお金になるとか、人が振り向いてくれるからやるとかじゃない。自然な形でバス釣りに行きたい時に行ける環境作りがいいかな。

また将来、海外で釣りしたいなぁと思えば海外にいったり、家をかまえたりするかもしれないし。また大会に出るかもしれないし。少なくとも今は日本に釣りのアジトを作って日本を回れる環境を固めたかった。

今までの人生もこれからも、ご自身がその瞬間、瞬間でやりたいと思ったことをしていくということですね? 生涯バサーですね(笑)

間違いないね(笑)

自分も初心者ながら色々な釣りの経験値をバス釣りに活かしたいと思ってます。本日は貴重なお話しを本当にありがとうございました。

O.S.P Inc
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