Launching the SFS Tokyo Lab.

AUTHOR

    Yoshihiro Saitoh

    東京近郊で手軽に釣れるゲームフィッシュ、シーバスを追いかける日々。復活した釣り欲にまかせて他の釣りも復活&チャレンジ中。シーバス歴はようやく3シーズン目なので色々差し引いて読んで下さいね。セイゴもフッコも釣れれば嬉しいじゃない、派

Launching the SFS Tokyo Lab.

ロケハン前にまず水景のルートをアナログ地図で貼り合わせて準備。水部分には着彩すると解り易い。

Launching the SFS Tokyo Lab.

小径のロードバイク+ロッドホルダー。湾奥はこれが一番機動力あり。

Launching the SFS Tokyo Lab.

街灯のつくる明かりもチェック。

Launching the SFS Tokyo Lab.

手書きで地図に情報記入。この辺は建築学科出身としてはおなじみの作業。

Launching the SFS Tokyo Lab.

最終的にはGooglemapに入力。「足場の高さ注意」等も情報に入れておく。

TACKLE DATA

Launching the SFS Tokyo Lab.

2013.05.15

窓から漏れる灯が運河を銀色に染めあげる。
少しだけ重たい風がアングラーを包みこみ聴覚を尖らせる。
生命感溢れる水面の小さな波紋が体内で音楽を奏でる。

そして、歓喜の瞬間がやがて訪れる。
銀色の水が飛び散り、静寂が破れる。
永遠にも一瞬にも感じるフルボリュームの世界が幕を明けるのだ。

結末を左右するのはアングラーの経験値だ。

東京湾のナイトシーバスフィッシングはとても繊細なスポーツ。
刻々と変化する自然環境に素早く対応し、ナーバスになった魚をルアーに反応させる。
釣れることのほうが奇跡なのかもしれない。ただ、シビアな状況でも釣る人はいるのだ。
東京湾でシーバスが一本も上がらない日はおそらくない。魚は必ずいる。

今年で3シーズン目に入る港湾のシーバスフィッシングの調査が少しずつ溜まってきたのを機に、
結果を自分なりに分析しながらここにメモしていこうと思う。
偉大なる先人の知恵を拝借しながら自分なりのアプローチを考察する事で、
この釣りがもっと上手くなることを、心より願う。

「ロケハン」

夜9時。ペダルを漕ぐと少し汗ばむくらいの穏やかな日。ロッドを持たずに運河に向かう。
本当は昼の干潮時が良いのだけれど、東京は真夜中でも明るい。ある程度の情報は見る事ができるだろう。

雑誌に載る様なメジャーポイントは確かに魚影は濃いけれど、人も多くて魚は警戒心を増す。
fimoをはじめ、釣り情報のウェブサイトはいくつかあるけれど細かい場所迄わからないし、
そもそもエキスパートアングラーと同じレベルの釣り情報がそのまま参考にはならないことも多い。
毎週数回の釣行は普通の生活をしている人には現実的ではないので、
人が少ない所、自動車ではアクセスがしにくいところを丁寧に見ていく。

大事なのは気持ちよくロッドが振れる場所かどうかということ。心にノイズを感じさせない場所ということ。
物理的にキャストしにくいのであればタックルを工夫すれば良いが、メンタル面はそれほど簡単ではない。
他人に左右されず、自分の考えをひとつずつ実践していく釣りの面白さ。
周りのヒットルアーを見てしまうと「何故、このタイミングでこのルアーなのか」を考える事をしなくってしまうので、
なるべく人のいない所・いないタイミングを狙っていく。

先ずは地図の用意。道路地図をコピーして貼り合わせる。俯瞰してみると海や大規模河川との関係性がわかる。
地図をバックパックに入れて小径のロードバイクにまたがりゆっくりとポタリング。
この自転車は車に積めて長距離も楽に移動できる。ロッドホルダー常備の湾岸釣りスペシャル。

ポイントについたら、気がついたコメントを地図に記入しながらどんどん移動する。
潮通しのよさ、航路、ベイトの有無・水の深さ・ランディングポイント等。
特にランディングポイントは重要で取り込めないところの魚を釣る事はできない。

気がついたら11時半。10キロくらいの場所を確認して帰宅。
限定公開のGoogleマップにコメントを記入して地図情報をアップデート。
この地図と釣果の日付を併せた情報が最も信頼のおける参考書となる。

複雑な東京港湾地区の水の通路を、魚とシンクロして妄想するための大切な作業。
点ではなく線と面で地形を捉えて魚の居場所を想像していくのがたまらなく楽しい。